卒業式

今日はペペペ市立ポポポ中学校の47期生の卒業式。
全3クラス総勢106人が新たな青春へと歩みだすための誓いの儀式である。
午前10時、記念すべき彼らの卒業式は始まった。
教頭「ただいまより、平成17年度ペペペ市立ポポポ中学校第47回卒業式を始めます。一同ペイ!ィ…ッ!」
教頭は激しく舌を噛んで大出血に至った。

その愚かな教頭の代わりとして、
2年生の学年主任であるラボーナ先生(以下ザリガニ)が司会進行をすることになった。
ザリガニ「国歌…独唱!YEAH!フゥー!」
独唱だと?何故こいつだけが歌うんだ。
しかしザリガニは目を閉じながら君が代を熱唱した。歌い終えたときの彼の顔は達成感に満ちていた。

ザリガニ「卒業証書授与。」
ここからはザリガニに代わって、各クラスの担任がそれぞれ生徒の名前を呼んでいく。
まずは3年A組からだ、ちなみにA組の担任は内藤先生(以下デーモン)である。
デーモン「3年A組、ああああ。」
これがこの生徒の本名だと?まるでRPGで適当につけたキャラの名前じゃないか。
しかもこの子、生涯名前順で先頭以外に立つことはなさそうである。
校長「卒業証書、ああああ。中学校の全過程を修了したことをここに記す。
   平成17年3月20日、by皆の憧れの校長。おめでとう。」
ああああは静かに壇上を去った。

無事にA組を終えて、次のB組に移った。
B組の担任は校内でも面白いと生徒に評判のいい教師、寺本先生(以下ボブ)である。
ボブ「井上聡美。」
井上「はい。」
校長「卒業証書、井上聡美。以下異文。おめでとう。」
異文って何だ、すごく気になるぞ。こいつだけ何が書いてあるんだ。
井上は卒業証書をまじまじと見ながら壇上を降りていったが、彼女の顔はだんだんと青ざめていった。

ボブ「森下哲平。」
森下「ザーイ、ザイザーイ。」
何語だ。
校長「卒業証書、森下哲平。君には渡さない。」
森下「!」
森下は体育館を駆け出していった。

卒業証書授与はなんとか無事に終えることができた。
次は来訪の人による祝辞だ、これがまた長い。在校生が卒業式を嫌がる理由の1つであろう。
ザリガニ「次に、来訪の皆様に祝辞をいただきたいところですが、
     時間の都合もありますので全て省かせていただきます。」
全部省いた。

さて手紙での祝辞など色々終えたところで、ついに卒業式もクライマックス。
卒業生・在校生による巣立ちの言葉・感謝の言葉である。
ザリガニ「在校生一同、起立!」
在校生は誰も立たなかった。

ザリガニ「卒業生一同、起立!」
席を立つ音のあと、体育館に一瞬の沈黙が流れた。
卒業生一同「巣立ちの言葉!」
生徒A「今日平成17年3月20日。」
生徒B「私たち卒業生106人は。」
生徒C「このペペペ市立ポポポ中学校を去り。」
生徒D「希望に満ちた、新しい世界へと。」
教頭「旅立ちまズァッ!…ッァッ!」
何故かここで教頭が再び出現して感動的な言葉を奪った。しかもまた舌を噛み、教頭はその場に倒れた。

生徒E「3年間、厳しくも温かい目で私たちを見守ってくださった、浜口光次郎さん。」
個人名出してるよ、ってか誰。
生徒F「初めての合唱コンクール。その時僕はまだ、愛媛県の学校にいた。」
転校してきた生徒に知らないこと言わせてる。
生徒G「皆で行ったスキー教室。寒くて寒くて、もう寒すぎた。」
それ以外の記憶がないらしい。
生徒H「修学旅行では、京都・奈良へ行ってきました。
    日本の歴史を深く知ることができ、とてもいい経験になりました。
    でも、渡辺悠太くんは風邪をひいていて来れませんでした。」
渡辺君は座り込んでしまった。

ついに巣立ちの言葉も終盤に達してきた。
生徒I「そんなたくさんの思い出を胸に、今日僕たちは新たな人生のスタートラインに立っています。」
陸上部顧問「フライングはしちゃいかん。」
保護者席から空き缶やら爆竹が投げ飛ばされてきた。

チャラランチャララララ♪
卒業生による感動の歌が流れる、ここで卒業生の溢れんばかりの想いは絶頂になるのである。
卒業生一同「つかもうぜ!ドラゴンボール!」
感動は一瞬にして崩壊した。

ザリガニ「これにて平成17年度第47回卒業式を終わります。一同、礼!」
体育館内には卒業生の涙をすする音しか聞こえなかった。
ザリガニ「卒業生が退場します、盛大な拍手でお送り下さい。」
パチパチパチパチパチ…

しかしこの日はまだ19日だった。
つまり卒業式前日で、誰一人としてそのことに気づかないまま卒業式は終了した。




 
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