期末考査 今日は県立バイソン高校の前期期末考査の日である。 2年生の「伊東光宏」は、何故か今回のこの試験に人生の全てを捧げて勉強してきた。 そんな彼は試験当日、万全を期してシャーペンを80本持って登校した。 初日の科目は「古文・化学・ライティング」であった。 彼は理系なので古文なんか暗号に見えるほど不得意だったが、 試験勉強を熱心にしたおかげで「をかし」の意味だけは理解できた。 キーンコーンカーンコーン 先生「でははじめ!」 教室全体に一瞬の緊張が放たれた。 光宏「をかし!をかし!をかし!をかし!」 この少年は何か大きな勘違いをしている。 【問題】傍線部の言葉の読みを現代仮名遣いで答えよ。 −@「桂姜棗草黄辛附湯」 −A「雪隠金亀子」 −B「ヨーグルト」 光宏「@Aは難しすぎるし、Bは何をすればいいのかわからん。」 【問題】傍線部C『心にもあらで、いらへつるなり』を英訳せよ。 光宏「マジかよ。」 【問題】傍線部Eの意味を分かりやすく説明していただければ幸いです。 光宏「何だこの問題文。」 2時限目「化学」。理系科目の中でも得意教科だったので、彼は自信をもって挑んだ。 しかしそんな容易く通過できる試験ではなかった。 【問題】次のうち混合物であるものすべて選び、記号で答えよ。 ア アルミニウム イ 空気 ウ 混合物 エ ドライアイス オ 水蒸気 カ 石油 光宏「『ウ』が気になって仕方ない。」 【問題】アンモニウムイオンについて、誤っているものを選べ。 ア アンモニウムイオンはアンモニウムイオンはである イ アンモニウムイオンは9文字である ウ アンモニウムイオンは逆から読むとンオイムウニモンアである エ 今は日本史の試験中である 光宏「…エか。」 【問題】塩化ナトリウム0.30molは、何歳か。 光宏「?????」 得意の化学の解答用紙の大半を空欄で終えてしまった光宏は、 気持ちを切り替えてこの日最後のライティングに集中することにした。 ここだけの話、彼は英語が苦手だった。 【問題】日本文にあうよう( )内の語句を並べ替えて正しい文を答えなさい 1、近所に新しい野球場が建設中です。 (baseball/baseball/baseball/baseball/baseball/baseball/baseball) 光宏「並び替えるもクソもないだろこれ。」 2、ビンに牛乳はほとんど残っていませんでした。 (There/was/little/milk/left/in/the/bottle) 光宏「既に並び替えてある…。」 【問題】次の日本文にあうよう、英文を完成させなさい。 1、昨日僕らが登りたい山で1000mより高いになれた。 光宏「問題文の時点でおかしい。」 2、そんなことない 光宏「問題文に反抗された。」 【問題】次の長文を読み、試験をあきらめなさい。 光宏「は?」 予想以上に大波乱の初日を迎えた光宏は翌日に控える 「数学B・日本史・現代文」を急いで帰って勉強することにした。 翌日、彼は大得意の数学にもかかわらず緊張を解かなかった。 昨日のようなまさかの事態を踏まえ、ナメてかからないことにしたのである。 2日目の1時限目がスタートした。 【問題】右図のベクトルa,bについてギルガメッシュジャパン。 光宏「次の問題いこ。」 【問題】次のベクトルa=(2,1)、b=(1.-1)とする。今日の夕飯は何か。 光宏「前文関係なくね?」 【問題】ベクトルa,bについて、a=√3、b=2、|a-2b|=5とする。 1、内積を求めるの? 光宏「そりゃ俺のセリフだ。」 2、|b+ta|を最小にする実数tの値とその最小値は求めてある。 光宏「ご苦労様です。」 前日の化学以上に難解な問題ばかりで、彼は理系の勇姿をまったく見せられなかった。 しかし時間は待ってはくれない、2時限目の日本史が始まった。 【問題】明治新政府の国内統一に関する下記の文章を読み、1〜588に適語を入れよ。 光宏「問題多すぎ。」 【問題】大久保利道の死後、新政府運営の中心となった人物は俺だ。 光宏「誰だよ、問題文になってないし。」 【問題】日清修好条規と日朝修好条規の違いを、簡潔&わかりやすくでありながらも 哀愁の意を感じさせつつ、アグレッシブにポエム的語調で3文字程度で説明せよ。 光宏「不可能だ。」 2日目最後の科目、現代文。 【問題】@〜Bのカタカナを漢字に改めよ。 @戦後になってテレビが普及した。 A蚊に刺されたらウナコーワクール。 Bパブロ・ピカソと愉快な仲間たち 光宏「作業は困難を極めた。」 【問題】傍線部@とは具体的にはどのような意味か。適切なものを1つ選び記号で答えよ。 ア 作者がイギリスで学んだことは必ずしも日本で通用するとは限らない。 イ だと思っていたら予想以上に日本人にも通用したので ウ 彼は夏休みを利用して実家に帰省し エ おばあちゃんの手作りおはぎを食べました。 光宏「突っ込みたい箇所が多すぎてもうどうしたらいいか分からん。」 【問題】傍線部C「そのような運命」を最も端的に述べた表現を、15字以上10字以下で抜き出せ。 光宏「それじゃ抜き出せないだろ。」 3日目の教科は理系の光宏にとってはありがたい1日である。 「物理・数学U・漢文」と2教科も理系科目があるのだ。彼は特に物理が大好きだった。 得意だから勉強しないということはせず、100点を狙って物理を集中的に勉強した。 【問題】物体にはたらく摩擦力の向きと大きさと精神力と愛の大きさを求めよ。 光宏「摩擦力って何のことか分からなくなってきた。」 【問題】右図はある物体のv-tグラフである。x-tグラフ、a-tグラフをみんなで協力して描け。 光宏「そんなことしていいの?」 【問題】物体の加速度を求めてくれ…これが最後のお願いだ。あとは頼んだぞ…。 光宏「出題者の身に何があったんだ。」 2時限目、数学U。 【問題】次の値を公共の福祉の範囲で求めよ。 光宏「どんな値だし。」 【問題】次の関数のグラフを描け。面倒ならば別によい。 光宏「じゃ描かない。」 【問題】もう問題が思いつきませんでした。by数学教諭一同 光宏「なんてやつらだ。」 3時限目、漢文。彼に言わせれば古文同様に暗号に等しいである。 【問題】傍線部@の「当枕石漱流」を腹下し文にせよ。 光宏「書き下すんじゃなくて?」 【問題】孟子は何時代の人か。次から記号で選び答えよ。 ア 先カンブリア期 イ バブル崩壊期 ウ 昨日 エ 実はまだ生まれてない 光宏「エにしよ。」 【問題】「殺」という字を解答欄が限界になるまでたくさん書け。 光宏「出題者の精神不安定疑惑。」 そしてついにやってきた試験最終日。 この日を戦い抜けば、解放感に満ちた夢の日々が待っている。 だが光宏はまだ最終日前日にもかかわらず早くもテンションが高まり、立ちながら勉強していた。 しかし最終日の教科は「英語U・世界史」。光宏にとっては地獄に近かった。 最終日1時限目「英語U」。 【問題】傍線部A「English is by far the world's most dominant second language」を和訳せよ。 ただし試験終了10秒前になってから書き始めること。 光宏「なんでだよ。」 【問題】ア〜エに適切な英語を180語補いなさい。 光宏「もはや補うレベルじゃねぇ。」 【問題】傍線部D「that」と同じ使い方をしているのは次のどの文か、記号で答えよ。 ア 部屋にあるものをとりあえずthat片付けた。 イ 北野武監督「thatぉういち」を観た。 ウ 細菌学者の北that柴三郎はドイツへ留学した。 エ いthatという時に備えて準備する。 光宏「どれも間違いだろ。」 2時限目、最終試験科目「世界史」。 【問題】空欄@には北米で最初に形成された植民地の 光宏「問題が未完成かよ。」 【問題】イギリスで産業革命が始まった歴史的背景について説明しなさい。 その際次の語句を必ず使用すること。(ギルド・東インド会社・地下資源・ベジータ) 光宏「最後の語句はいったい何だ。」 【問題】どうせお前は0点だよ。 光宏「うざ。」 こうして、空前絶後とも言えるほどの意味不明な定期試験を終えた光宏は深い眠りについた。 ちなみに彼は毎日深夜まで勉強していて睡眠不足だったため、7日間眠ったままだった。 解答用紙は1週間後に返却されることになっていたため、彼が起きたその日がまさに返却日だった。 光宏「ベストを尽くしたんだ…どんな点でも悔いはないさ。 今回の試験のためだけに俺は人生の全てを委ねてきたんだから!」 解答用紙は返ってこなかった。 ↑良かったら投票してやってください↑ |
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