家庭崩壊

息子「ただいまー。」
母親「誰あんた、産んだ覚えないよ。」
息子「帰宅早々すさまじいこと言うね、母さん。」
母親「戸棚にお団子が入ってたけど食べちゃった。」
息子「息子が聞こうとしていたことを先に言われてしかもその返答が予期せぬ結果だという悲劇だ。」

母親「あんた今日の晩御飯何がいい?」
息子「別に…なんでもいいよ。」
母親「張り合いがないわ。」
息子「そんな。」
母親「じゃぁバッタの活け造りにするわよ。」
息子「カレーライスがいい。」
母親「典型的な子供の好物口走ってんじゃないよ。」
息子「じゃぁ松茸の土瓶蒸しが食べたいな。」
母親「あんたうちにそんな余裕があると思ってんの?」
息子「オムライスなんかどう?」
母親「いつからあんたはそんな洋食主義者になったんだい!」
息子「言ったのはカレーとオムライスだけじゃないか。」
母親「たまには楽な料理にしてほしいわぁ、刺身とか。」
息子「刺身でいいよ、切るだけで済むもんね。」
母親「じゃぁ晩御飯は刺身にするね。」

息子「今日広場でみんなで野球するからすぐ出かけるね。」
母親「宿題があるんでしょ。」
息子「今日はないよ。」
母親「ウソつくんじゃないよ。」
息子「本当にないってば。」
母親「ないなら作ればいいじゃない。」
息子「無茶苦茶だ。」
母親「とにかく今日からはもう一歩も外に出さないからね。」
息子「ふざけんな。」

息子「行ってきまーす。」
母親「もっとバット持ってく?」
息子「要らないよ。」
母親「ティッシュとハンカチは持ったの?」
息子「うるさい。」

息子「ただいまー。」
母親「家を出入りするたびにうだうだ言ってんじゃないよ。」
息子「そんなに息子の声がうざいか。」
母親「ほら、もう夕飯の支度出来てるからね。」
息子「父さんは?」
母親「…。」
息子「父さんはどうしたんだよ。」
母親「…。」
息子「おい!何があったんだよ!」
母親「…まだ会社。」
息子「一体何をためらってたんだ。」

息子「いただきまーす。」
母親「今日のご飯はちょっと力がこもってるわよ。」
息子「刺身をズタズタ切ったってわけね。」
母親「!」
息子「お、この刺身うめーな。」
母親「そうでしょう、高かったのよそれ。」
息子「ふぅん、今日は母さん奮発したな。」
母親「でゅふふ。」
息子「何その笑い方。」

母親「ほら、テレビばっかり見てないで勉強しなさい。」
息子「えー、9時からするよ。」
母親「光陰矢の如し。」
息子「だから何。」
母親「あら、何あんた。反抗期の絶頂を極める気?」
息子「よく分かってるじゃん。」
母親「もう…そんな子はうちの子じゃありません!というより病院で取り間違えたのよあんた。」
息子「いきなりの衝撃告白にも程がある。」




 
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