Discussion

設定:この不況の世の中で窮地に追い込まれた清涼飲料水専門企業「ガーナ」は最終勝負に出る。
   今話題の「緑茶・スポーツドリンク」の新製品開発である。
   その新製品について意見を交し合うため、急遽臨時幹部会議を開いた。
   会議構成員は社員A・B・C・D、そして課長、部長、社長である。

社長「ではまず、何故我が社の売上げが上がらないのかを課長に説明してもらおう。」
課長「あんたのせいだ。」
社員ABCD「そうだよ、あんたが元凶だよ。」
社長はいきなりこの場にいづらくなった。

課長「私の課では毎朝全員そろってヨーグルトを食べています。」
社員B「今の議論に関係ないです。」
課長「無脂肪ヨーグルトです。」
社員B「死んでください。」

社員A「私が思うに、我が社の生産している清涼飲料水にはこれといった
    インパクトがないのではないかと思います。初印象にかけるのです。」
社員D「例を挙げてもらってもいいですか。」
社長「ダメです。」
部長「社長、議論の邪魔になるので少々部屋から出ていて頂けませんか。」
社長「わかりました」
社長は退室した。

社員C「で、その初印象にかけるという例は?」
社員A「忘れました。」
社員C「じゃあ必死に思い出してください。」
社員A「思い出しました。」
社員B「覚えてるじゃないですか、嘘はいけませんがまあいいでしょう。」
社員A「パッケージに問題があるんですよ。○○社の××茶はパッケージの見た目が
    和紙のような感じなんです。あれは人目を引きますよ。」
社員D「そうですね、その通りのようです。それはまず1つの問題点としましょう。
    ではこれについて意見のある方はいませんか。」
課長「すいません、トイレ行ってきていいですか。」
社員D「ダメです。」
課長「マジッすか。」
社員B「大マジです。こらえなさい、我慢しなさい。いつかそれが幸せに変わります。」
課長「じゃぁ頑張ります。」

部長「私がまず第一に思ったのは、緑茶の味にこれといった特徴がないことだ。
   家で淹れても同じような味になるんじゃないのかね。」
社員C「麦茶を入れればいいのでは。」
社員A「緑茶じゃなくなります。」
社員C「では少々マヨマヨを入れてみては。」
部長「ちょっと待ってくれ、マヨマヨとは何だね。」
社員C「ケチャップに決まっているでしょう。」
社員D「ケチャップという名前との共通点が見当たらないので推測は不可能です。」
社員A「それにケチャップなんか入れたらまず飲めないでしょう。」
社員B「私なら飲めます、持ってきてください。」
社員D「消えろ。」

課長は汗を垂らしながら無言で部屋を飛び出していった。

社員B「緑茶というのは好みがありそうなので、ここは心機一転違うお茶で勝負に出てみてはどうでしょうか。」
社員A「となるとほうじ茶や麦茶などですね。」
社員B「そうです。それに、緑茶はユーザーがもっとも広く飲んでいる種類なので、
    1つの製品にそれを絞り込むのは難しいですよ。」
社員C「これからは季節的にも夏なので、香ばしい麦茶はどうでしょう。」
社員A「冬になったらどうする気ですか。」
社員C「地軸をずらします。」
社員B「じゃぁ頼みましたよ。」
社員C「すいません調子乗りすぎました。」
部長「今更遅い、貴様は永遠に闇の世界を生きるのだ!」
社員ABD「それはないです。」

社員D「では、他社ではあまり販売していないこぶ茶はどうですかね。」
社員B「ちょっと地味すぎやしませんか。」
社員D「ではジャスミン茶などは。」
社員B「ああ、それはなかなかいいかもしれませんね。
    他社でもあまり販売していないのでいかにも人目をひきつけそうですよ。」
社員C「余談なんですが、ジャスミンって何ですか。」
社員A「その歳で知らないんですか、まさに世間知らずとはこういったもんですね。」
社員B「ジャスミンは私の姉です。]
社員D「マジで。」

ガチャ
社長「そろそろ会議に復帰してもいいですか。」
社員ABCD「ダメです。」
バタン
社長は会社を後にした。

部長「では次の議論に移ろう、スポーツドリンクだ。」
社員B「スポーツドリンクも緑茶と同じように他社との違いをつけるのが難しいので、
    今巷で話題の二酸化マンガンを入れてみたらどうでしょう。」
社員D「聞いたことないんですが。」
社員B「二酸化マンガンを薄い過酸化水素水に入れると酸素が発生するんですよ。」
社員A「もう喋らないで下さい。」

社員D「今日、他社でも新しいスポドリの開発に力を入れています。
    中でも△△社が開発した□□ドリンクは最近著しく売上げを伸ばしています。
    その理由のひとつとして個人的には、少量の果汁を入れていることだと思うのですが。」
社員A「すいませんがその果汁とは何の果物ですか。」
社員D「グレープフルーツのようですが、500mlに対して500cc入っています。」
社員B「それはグレープフルーツジュースじゃないですか。」
社員D「その通りですね。」
社員Dは減給処分された。

社員B「それでは我が社のスポドリも果汁を取り入れてみるべきでは。」
社員A「やはりそうなると柑橘系の果物ですかね。」
社員C「柑橘系だと、国産のものでは予算が追いつかないので無理です。
    ですから輸入物に頼らざるを得ないのではないかと。」
部長「外国産のモノは農薬の心配があるんではないかね。よくいうポストハーベストとかなんとか。」
社員B「心配ありません、僕に任せないでください。」
社員A「意味の分からないことを言わないでください。」

社員D「果汁を入れるというのとは別の方向で、微量の炭酸を入れるのはどうですか。」
社員C「炭酸なんか入れたら、短時間で水分を効率よく吸収できないんじゃないですか。」
社員D「いえ、極微量です。それだと体に適度な刺激があっていいんじゃないでしょうか。」
部長「私はジンジャーエールが大好きなんだ。」
社員B「聞いてません。」
社員A「でも炭酸だと飲めない人もいますよ。」
部長「私は炭酸はダメなんだ。」
社員B「それも聞いてません。それにジンジャーエールも炭酸ですから、
    さっき言ったことに矛盾します。よって√3は無理数です。」
社員C「突然背理法使わないでください、というより何してるんだあんた。」

社員A「やはりここは消費者の意見が最優先なので、
    わが社のホームページの『消費者意見投稿欄』をみてみましょう。」
社員B「それはいいですね、消費者の望むものを生産するのが第一ですから。」
社員A「えー、それではここ1週間の消費者からの意見を読み上げます。
    もっとスポドリの種類を増やしてほしい、が最新の意見ですね。」
社員D「あ、それ私の投稿です。」
社員A「なんで社員が自分の会社に投稿してるんですか。」
社員D「それもそうですね、ですが今後気をつけようと決心する気もしません。」
社員A「ぶっ殺しますよ。」
社員D「すいませんでした。」

社員A「それでは2つ目を読み上げます。株式会社ガーナはつぶれたほうがいい、です。」
社員B「やっぱりもうこの会社終わりにしませんか。」
社員C「それを言っちゃあお終いですよ。」
社員A「でもそれが最良策かもしれませんね。」
部長「あんまり喋れなかった。」

収拾がつかないので議論は途中で終了した
課長はトイレから戻ってこなかった。




 
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